ルーチンと聞いてどんなイメージを持っているでしょうか。
上から押し付けられた業務ルールに従って同じ作業を繰り返すこと
こんなイメージではないでしょうか。
しかし、実はルーチンとは
繰り返される行動パターンであり、状況によって変化するもの
と言われています。
一体どういうことでしょうか。
確認していきましょう。
ルーチンを利用する
ルーチンの特徴は上述の通り、
- 繰り返される行動パターン
- 状況によって変化する
です。
では、繰り返される行動パターンであり、状況によって変化するルーチンは組織の何に役立つのでしょうか。
それは、組織の成長に役立ちます。
組織の認知には限界があるため、得た知をそのままにしてしまうと、組織の認知キャパシティが満たされ、新しい知が収まらなくなってしまいます。
そのため、キャパシティに負担がかからないように埋め込む必要があります。
その手段の1つが「組織の標準化された手続き」です。
組織の中で当然のように埋め込まれた習慣になってしまえば組織への負担が減ります。
組織メンバーが似た行動を繰り返し、パターン化(つまり当然の行動)することが大事です。
たとえばソフトウェアの操作方法を考えてみましょう。
操作方法自体はマニュアルを共有すればことは足ります。
しかし、現場で重要なことは
そのソフトウェアをみんなでどのようにうまく使っていくかという言わば仕事の進め方です。
そしてそのソフトウェアを繰り返し使うことで職場に浸透されていきます。
- 朝礼
- 5S活動
などもルーチン化した結果だと思います。
ルーチンが組織にもたらす効果
では、ルーチンが組織にもたらす効果はどのようなものがあるでしょうか。
安定化、記憶、進化などがあげられます。
- 安定化
メンバーの繰り返す業務、行動プロセスが平準化され、メンバー間の行動を比較しやすくなります。
そのため、監督、管理が行いやすくなります。また、メンバー間に仕事への「目線」をそろえることでコミュニケーション効率向上が期待されます。逆に「目線」がそろっていないと、なぜこの作業が必要なのか説明が必要になってしまいます。
- 記憶
ルーチンは組織に知をうめこむ、組織の記憶の仕組みです。
主にノウハウなどを組織に記憶させるために用います。
- 進化
認知キャパシティに余裕が生まれ、新たに知をサーチし、行動することで新たな知を得ることができます。
よって、ルーチンは
上から押し付けられた業務ルールに従って同じ作業を繰り返すことではなく状況の変化によって変わることもある行動パターン
と言え、進化を促すようなルーチンにしなければならなりません。
マニュアルだけ詰め込んでも、現場で繰り返され、行動が伴わなければ意味がありません。
そのため、マニュアルに完成はなく、現場がマニュアルを絶えず改定し続けることで常に改善する姿勢をルーチン化する必要があります。
このような進化のためのルーチン化は良品計画(無印良品)やトヨタ自動車、京セラ、デンゾーなど現場が強い企業に浸透しています。
ルーチンの進化
ルーチンの進化は、ルーチンが作られた方向性へだんだんと進化し、行き過ぎると硬直(安定)化する。
- 漸進的な変化
ルーチンの進化は「繰り返しの行動」のため、だんだんと変化する。
- 経路依存性
一度築いたルーチンの方向性を急激に変えることはできません。
そのため、ルーチンが出来上がった経緯によって、進化の方向性は制約を受けます。
- 硬直化
ルーチンは放っておくと硬直化する。ルーチンの安定化が行き過ぎると、ルーチンに依存するようになり、進化は止まってしまう。
硬直化の原因
- 繰り返しの頻度
同じ行動パターンを繰り返す頻度が高すぎると、ルーチンは硬直化する。
- 繰り返しの長さ
行動パターンが一定のペースで長く繰り返されるとルーチンは硬直化する。
そのため、閉塞した組織には「新陳代謝」が必要になる。
- 時間的プレッシャーなどの外的要因
時間のプレッシャーなどのストレスがかかってしまうとルーチンが硬直化してしまう。
すぐに結果を出さないといけないストレス環境下では今持っているルーチンが効率的と考えてしまう。
臨床工学技士で考える
医療現場において「マニュアル整備」は非常に重要になります。
新人教育で重宝されたり、一人ひとりが経験できる症例に差があるためです。
しかし、そんな大事なマニュアル改定はなかなか骨が折れます。
マニュアル改定することをルーチン化することで組織を活性化できるのであれば是非取り入れたいです。
それでもルーチン化することはなかなか大変なんですけどね。
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