今回は「SpO2」について。
「SpO2」をどのくらいで管理すればいいのか、各種ガイドラインや論文を紹介します。

SpO2ってどのくらいで管理するの?
まずが色々なガイドラインにおける「SpO2」に関する記載を列挙していきます。
「SpO2」に関するガイドライン・論文
成人の心拍再開後の治療アルゴリズムでは
「SpO2が92~98%になるようFIO2を調整する」
AHAガイドライン2020より引用
と、記載されています。
急性冠症候群
SpO2≧90%のACS患者に対しルーチンに酸素投与しないことを提案する。ただし、SpO2が90%以上であっても、頻呼吸や起坐呼吸、心原性ショックには酸素投与が必要である。
低酸素血症のないAMIまたはその疑い患者に対して、ルーチンの酸素投与をしないことえを提案する。
JRC蘇生ガイドライン 第6章 急性冠症候群より引用
ファーストエイド
ファーストエイドにおいては、脳卒中が疑われる成人に対して、酸素投与をルーチンには行わないことを提案する
JRC蘇生ガイドライン 第7章 ファーストエイド
成人ARDS患者において過度な低SpO2(PaO2)を目標とした管理を行わないことを条件付きで推奨する。※過度な低酸素および過度な高酸素を避けるような管理をすべきである。
ARDS診療ガイドライン2021より引用
ARDS患者に対し制限酸素療法群(PaO2:55~70mmHg、SpO2:88-92%)と自由酸素療法群(PaO2:90-105mmHg,SpO2:96%)に分類した論文。
ARDS患者に対して制限酸素療法を早期に実施しても28日生存率は向上しなかったという結果。

ひくいSpO2で管理してもダメという結果。
成人敗血症患者の呼吸管理において、目標SpO2を高め(98~100%)に設定しないことを弱く推奨する。
日本版敗血症診療ガイドライン 2020より引用
こうしてみると

高すぎず、低すぎずの「SpO2」で管理するようにしよう!
となりそうです。
ここで次は低い「SpO2」で管理しよう、というガイドラインをみていきます。
COPDまたは高炭酸ガス血症のリスクがある患者の急性呼吸不全は、SpO2を88%~92%目標
今度は高い「SpO2」で管理しよう、といったガイドライン。
大腸手術において、術中および術後2~8時間の高濃度酸素投与はSSI発生率を低下させる可能性がある。しかし、高濃度酸素には吸収性無気肺や酸素毒性などの問題もあり、長時間手術における安全性も確立していないため、適応には慎重な判断が必要である。
消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドラインより引用

高濃度酸素投与はSSIを低下させるかもしれないけど、慎重に行おう!
さいごに
今回は「SpO2」のガイドライン、論文紹介でした。
各ガイドラインにおいて、むやみに「とりあえず、酸素」みたいに投与してはダメとなっています。
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