SBTとは?
「自発呼吸トライアル」とはいったい何でしょうか。下記に詳しく記載されています。
「人工呼吸器離脱プロトコル」には以下2つが記載されています。
- 自発覚醒トライアル(Spontaneous Awakening Trial: SAT)
- 自発呼吸トライアル(Spontaneous Breathing Trial :SBT)
人工呼吸器から早期離脱するためには、人工呼吸開始後は日々離脱に向けて評価することが
必須とされています。
今回は「SBT」について!!
SBTとは、
人工呼吸による補助がない状態に患者が耐えられるかどうか確認するための試験
です。
30分から2時間の間、人工呼吸器のモードをCPAPやPS、もしくはTピースに変更して患者状態に変化がないかどうか観察します。
もちろんSBTを実施する前は原疾患の改善やSBTに耐えうる状態であることが前提です。
- 酸素化
- 血行動態が安定
- 十分な吸気努力
- 異常呼吸パターンがない
- 全身状態が安定
呼吸状態だけではなく、循環動態などの全身状態が改善していることがSBT開始基準になります。
実は最近、「自発呼吸トライアル」は注目されています!!
診療報酬
注目されている理由は「診療報酬」の改定!!
2023年9月現在、人工呼吸器の診療報酬は
- 30分までの場合242点
- 30分を超えて5時間までの場合 242点に30分又はその端数を増すごとに50点を加算して得た点数
- 5時間を超えた場合(1日につき)
- イ 14日目まで950点
- ロ 15日目以降815点
と、なっています。改定前は
5時間を超えた場合、1日につき819点
だったため、点数は上がっています。
さらに
- 気管内挿管が行われている患者に対して、意識状態に係る評価を行った場合は、覚醒試験加算として、当該治療の開始日から起算して14日を限度として、1日につき100点を所定点数に加算する。
- 当該患者に対して人工呼吸器からの離脱のために必要な評価を行った場合は、離脱試験加算として、1日につき60点を更に所定点数に加算する。
SATとSBTに加算が付くようになりました。この加算は人工呼吸器離脱に関する 3 学会合同プロトコルを念頭に作成されており、SATやSBTを行うと合計1000点を超えるため出来高算定が可能になります。
SBT関連の論文
ではSBT関連の論文紹介!!
481カ国の50の集中治療室で実施されたstudy。2日以上人工呼吸器管理された成人患者5869人を対象とし、4523人がSBTを一回以上、3817人が90日以内に離脱、1662人が離脱失敗。
人工呼吸器離脱基準を満たしてからSBTを開始するまでに遅れが生じている、という結果が。
次はSBTとSIMV、PSVのついての論文!!
1995年と少し古い論文ですが、この論文では
- SBT(Tピ-ス2時間、1日1回以上)
- SIMV(呼吸数を5回/min以下まで減らす)
- PSV(5cmH2O以下まで減らす)
この場合、1日1回SBTを実施した方が良い結果になりました。
PSV、Tピース、抜管後を比べた論文!!
この論文では抜管後の酸素投与と比較して
- PSVでは呼吸努力が小さい
- Tピースでは気道抵抗が高く、呼吸困難感を強い
という結果がでています。
次はスクリーニングについての論文!!
1996年の論文ですが
毎朝スクリーニングを実施後SBTを行うことで
- 人工呼吸器離脱までの時間
- 再挿管率
が減少したという結果。
SBTの失敗について!!
この論文は1999年の論文です。
この論文ではSBT失敗した場合、SBT開始15分後くらいまでに心拍数や呼吸数などのバイタルサインが変動したという結果。
TピースでSBTを行った際、どの時間帯で失敗したかの論文!!
この論文ではSBT失敗は開始30分で60%以上だったという結果です。
さいごに
実はSBTの論文は1990年代と、昔からあり注目されていました。そこに「診療報酬」の改定。
どんどん、SBTをやっていきましょう!!
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