振動メッシュネブライザー
振動メッシュネブライザーってなに?
振動メッシュネブライザーは振動子が約180kHzで振動します。この振動で約3μmの穴が開いているメッシュから薬液を噴出させます。
- 振動子が発熱しない
- 動作音が小さい
- 均一な大きさを噴霧
などの特徴があります。
振動メッシュネブライザーの薬剤沈着率は?
この論文によると
- ジェット式:3~7%
- 超音波式:5%
- メッシュ式:10~15%
と、メッシュ式が一番沈着率が高いという結果が出ています。
人工呼吸管理中のネブライザーの位置
振動メッシュネブライザーってどこにつければいいの?
装着場所に関する論文がこちら。
この論文ではネブライザ―の装着位置を
- 吸気側回路の終わりの部分
- 加湿チャンバ入り口部分
の2か所に設置して吸着率を測定しています。
使用しているネブライザーは
- ジェットネブライザ―
- 振動メッシュネブライザー
の2つです。
「吸気側回路の終わり」と「加湿チャンバ入り口部分」両方で「振動メッシュネブライザー」で吸着率が高いという結果がでています。
また、「振動メッシュネブライザー」を使用したとき、「吸気側回路の終わり」に装着するよりも「加湿チャンバ入り口部分」に装着した方が吸着率が高いという結果が出ています。
よって、「振動メッシュネブライザー」の装着位置は「加湿チャンバ入り口部分」がよさそうです。
※ネブライザーを縦にすると使用できないモノもあります。縦向きで使いたい場合「Aerogen Solo」などを使いましょう。
加温加湿器の電源は切る?切らない?
加温加湿器の電源は切ったほうがいいの?
人工呼吸中にネブライザーを使用する際は「加温加湿器の電源を切ったほうがいい」と習いました。
2004年のこの論文。
「噴霧と湿度がエアロゾル送達を決定する最も重要な要因」としています。そのため、「加温加湿器の電源は切ったほうが良い」としています。
一方別の論文。
この論文では
侵襲的な機械的換気中のエアロゾルの送達に対する乾燥加湿条件と加熱加湿条件の影響を過大評価している
としています。むしろ「ネブライザ後の電源入れ忘れ」なども考慮すると加温加湿器の電源はいれたままで良いとしています。
人工呼吸中のネブライザー
人工呼吸器の設定はどうすればいいの?
まずはこの論文。
振動メッシュネブライザー使用下におけるVCVとPSVの比較をしています。
この論文では「VCV」のほうが薬剤沈着率が高い結果が出ています。
PSVのほうがVCVと比べて「最大吸気流量」が高かったため、「吸気流量」が「薬剤沈着」に影響を及ぼす可能性が示唆されています。
つまり、最大吸気流量が低いほど薬剤沈着率が高くなる、ということです。
影響をあたえるのは吸気流量だけ?
この論文では「吸気時間」が薬剤沈着に与える影響を比べています。
「吸気時間」が長ければ薬剤沈着率も高い、という結果が出ています。
ゆっくり、ながくガスを送ることで薬剤沈着率があがる!!
HFNCでネブライザーは使えるの?
HFNCでネブライザーは使えるの?
HFNC(High Flow Nasal Cannula)の略であり、加温加湿器と併用して30~60L/min程度の高流量でガスを送る酸素療法です。いわゆる「ネーザルハイフロー」です。
HFNCとジェットネブライザ―を比べた論文!!
この論文は「HFNCと振動メッシュネブライザーを併用」した場合、「ジェットネブライザ―」を使用した場合、HFNCのみの場合における気管支拡張の効果は
- ジェットネブライザ―:18%
- HFNC+振動メッシュネブライザー:16%
- HFNC:3%
のようになりました。「HFNC+振動メッシュネブライザー」と「ジェットネブライザ―」は同等の効果があると言えそうです。
HFNCは高流量でも大丈夫?
HFNC+振動メッシュネブライザーの流量に関する論文はこちら。
HFNCの流量を15〜20L/minと若干少ない流量設定において
MDI+スペーサーでサルブタモールを4回吸入(400μg)とHFNC+振動メッシュネブライザーでサルブタモール1.5mg吸入で同じくらい改善した、という結果。
HFNC+振動メッシュネブライザーを行う場合は少し流量を落として施行する必要があると考えられます。
世界的にはHFNC中のネブライザーはどうしているの?
61か国、1368名のアンケートによると
- HFNC中止:33%
- HFNCの上からネブライザー:40%
- 回路内に組み込んだ:24%
という結果。
HFNCを中止してもいいの?
重症な場合は
- HFNC中止は推奨しない
- 回路内に組み込まない吸入療法は推奨しない
とされています。
↓HFNC関連の記事
さいごに
今回は「振動メッシュネブライザー」について書いていきました。
近年、使う頻度が増えてきたなと感じています。今回の記事で復習していただければと思います。
人工呼吸器に関する電子書籍をkindle出版しています。興味のある方は是非!!
コメント