機器管理関連本の紹介まとめ。
しかし、機器管理と言っても必要な知識など幅がとても広いと思います。
そのため、
- 機器管理
- 医療安全
- ビジネス
に分類して紹介していこうと思います。
機器管理
信頼性工学のはなし
信頼性工学の概要を知りたい人におすすめです!!
- 信頼性工学について
- バスタブ曲線について
- 保全とアベイラビリティ
など、信頼性工学の基礎が学べると思います。
機器管理のみならず血液浄化や人工心肺に従事していても医療機器のメンテナンスは行うと思います。そのため、臨床工学技士全般におすすめしたいと思います。
どんな本?
信頼性工学の基礎について学べます。
バスタブ曲線や保全、MTBFや定常アベイラビリティなど学校でさらっと習った内容が分かりやすく簡単に説明されています。
本書の中に
「窓ガラスを取り換える愚か者 時計の電池を取る換えぬ愚か者」
信頼性工学のはなしより引用
という言葉が出てきます。
・時計が止まったのを見て偶発故障だと思って電池を変えない
・窓ガラスが古くなったから取り換えよう
なんてことはしても意味がないと実感で分かっています。
確かに、偶発故障期間に時計を変えたとしても故障率は変わらないし、デバックが済んでいないため初期故障が起きる確率が上がると考えられます。
ガラスの場合、偶発故障機の故障はヒョウが当たるとか野球ボールがあたるなど、偶然こわれることがありますが、新品に変えたとてその確率が下がることはありません。
なるほど、確かに。と思いました。
普段実感していることを信頼性工学で解説してくれているため頭にすっと入ってきます。
本書のいいところ
臨床工学技士とは一言でいうと
- 生命維持管理装置の操作および保守点検
を行う国家資格になります。
- 生命維持管理装置の操作→主に臨床的な知識
- 生命維持管理装置の保守点検→主に工学的な知識
が必要になります。
臨床的なことが書かれている本はたくさんありますが、実は医療機器の工学的な話が書かれている本は少ないと感じています。
更に、医療機器の特徴、
例えば除細動器や電気メス、人工呼吸器などの装置の動作の話はある程度みますが、いわゆる「機器管理」について記載されている本は数が少ないです。
ここでいう「機器管理」は医療機器の納入から廃棄に至るまで
- どのように管理をするか
- 何を指標にして廃棄・購入をするか
を、さします。
「機器管理」の業務はただ保守点検をすればいいだけではありません。
保守点検を通して、院内の医療機器のマネジメントをする必要があります。
では何を指標に医療機器のマネジメントをすればいいのでしょうか。
私は「信頼性工学」だと思います。
臨床工学技士会の医療機器管理業務管理指針に以下のような記載があります。
廃止および廃棄の対象となる機器
①部品供給ができず修理不可能な機器,または致命的な故障があり修理に多額な経費を必要とする機器.
②耐用期間が過ぎ整備調整を行っても機能,特性および信頼性が現時点の要求水準に満たない機器.
③現時点および将来的に使用の見込みがない機器
臨床工学技士会の医療機器管理業務管理指針より引用
①は保全性、保全支援能力が著しく低下している状態
②は信頼性が著しく低下している状態
と言えます。
また、臨床工学技士会の医療機器管理業務管理指針には以下のような記載もあります。
返却された機器の状態や保守点検記録,修理記録をもとに,適切な機器の使用状態を把握する.また,使用が不適切であった場合は,使用方法について医療機器の安全な操 作に関する情報の提供,または機器安全操作のための研修を実施し,医療機器の安全性の改善を促進する.また,医療機器操作手順書の見直しを定期的に行い,使用者側に立って使いやすい手順書の作成を行うことが重要である.また更新後は,変更の内容と日付を履歴に残し,使用者全員に周知徹底を図る. 故障発生時には,医療機器管理台帳から履歴を確認してバスタブ曲線等を参考に,機器が偶発故障期であるか,磨耗故障期であるかを保守点検記録や修理記録をもとに分析して,経済性,安全性等の側面から,医療機器の更新時期の検討を行う.
臨床工学技士会の医療機器管理業務管理指針より引用
このように
「バスタブ曲線などの信頼性工学手法を用いて医療機器の更新時期を検討しなさい。」
と言われています。
ところがどっこい、臨床工学技士の学校では実はそこまで信頼性工学について教えてくれません。そのため、自分で勉強するしかないと思います。
そんな時、本書「信頼性工学のはなし」は非常に参考になります。
資料作成
臨床工学技士の業務のなかで一番資料を作成するのは機器管理ではないでしょうか。
病院内における各種医療機器の勉強会を行う上で資料は必須になると思います。
しかし、初めて資料を作成する際、
どうやって資料作成すればいいの?
と、疑問に思うことも少なくないと思います。
そんな人向けに「資料作成」でおすすめ本をまとめました。
医療安全
「医療機器安全管理責任者」は臨床工学技士が適任かと思います。
また、血液浄化、人工呼吸器、人工心肺など生命時管理装置に深く関わる臨床工学技士は「医療安全」に関する知識が必須になります。
しかし、学校などではあまり教えてもらえない現実があります。
そこで、医療安全にかかわるおすすめ本を紹介します。
ねころんでよめる WHO患者安全カリキュラムガイド
全医療従事者におすすめです!!
- 患者安全の本質を知り、人間工学やエラーを学び、良いシステム、プレーヤーになるよう構成されています。
12トピック、135ページ構成になります。
イラストや漫画が非常に多く、文字通り、ねころんで読めます。
医療安全に関して学ぶ機会がなかなかないと思います。
しかし、全ての医療集自社は医療安全と隣り合わせになります。
そのため、医療安全の考え方やどういったものなのかといったところをさくっと読むにはいい教材だと思います。
どんな本?
「医療安全」とは何なのか
をイメージつきやすくするための本だと思います。
医療従事者側にエラーがあったかどうかにかかわらず、患者さんにとって有害な事象(患者有害事象)は世界中の医療施設で発生しています。
その原因として
- 防ぎようがないもの(薬剤の副作用など)
- 防ぐことができるもの(メスを入れる場所を間違えたなど)
など様々あります。
そして、このようなエラーを起こした人を非難する文化は世界中にありますが、
- 人間の行動は自分ではコントロールできない要因に束縛されている
- 人間は考えた通りに行動することは困難である
と、されており
- 罰することでは事故をコントロールすることはできない
とされています。
多忙な業務や疲労などが原因となり「違反」をしてしまうことがあります。
「違反」は安全な手順や規則から外れた行為をさします。
では「違反」にはどのような種類があるでしょうか。
- 日常的な違反:忙しくて時間がないため、わかっているのに犯してしまう違反
- 業務効率を高めるための違反:忙しくて時間がないため自分勝手に手順や、やり方を変えてしまう違反
- 必要に迫られての違反:時間に追われたりしてリスクを承知しても、故意に段階を省いてしまったりする違反
と、大きく3種類に分類することができます。
また、エラーも3つに分類することができます。
エラーは違反とは違い「故意的」ではありません。
- 計画時から失敗していた(ミステイク)
- 計画は正しかったが実行時に失敗した(スリップ)
- 実行中に計画を忘れてしまって失敗した(ラプス)
こうしたエラーを減らすためには「人間工学」を応用することも大切です。
例えば、下の図を見てください。
どちらの線が長く見えるでしょうか。
線の両端を<>にすることで線が短く見えてしまします。
逆に両端を><にすることで線が長く見えてしまいます。
これを「ミュラー・リヤー錯視」と呼びます。
実際の線の長さは同じになります。
また、大勢の人が会話をしている中で、自分の名前が出たらどうでしょうか。
遠く、騒がしい状態でも聞き分けることができると思います。
これを「カクテルパーティ効果」と言います。
このように人は聞き分ける能力があるとも言えますが、逆に人は自分の見たいものしか見ず、聞きたいことしか聞けないとも言えます。
そのため、人は間違えるものであり、間違いやすい状況をなくすという考えが大事になります。
本書のいいところ
やはりイラストが多く、文章もわかりやすいです。
また、事例なども載っているためイメージがつかみやすいと思います。
「医療安全」とはなんなのか、といった概要を知るための導入本としておすすめです。
私も「医療安全」の導入本として本書を使いました。
ストレス要因別「防げたはずの」エラーが起こる瞬間
全医療従事者(とくに看護師さん)におすすめです!!
「防げたはず」のエラーが起こってしまうのは何故なのか、30の事例を用いて各々解説があり、エラーに学ぶシステムと教育の改善策について学べます。
全3章、30事例、索引なし152ページの構成です。
30の事例を漫画形式で紹介され、事例ごとに
「どうしてこうなったのか」、「こうすればエラーがふせげる」
が記載されています。
そのため初学者の導入本としてはもちろんのこと、長期に医療安全に取り組んできた人も、日常を振り返ることができる1冊になっていると思います。
しかし、医療安全についての内容が「がっつり」というよりも「さくっと」学べる本のため、「医療安全」とは何なのかしっかり学びたい人は目的に沿わないかもしれません。
どんな本?
「防げたはず」のエラーはなぜ起こってしまうのでしょうか。
エラーの後に振り返ると「こうすればよかった」と思うことは多々あります。
しかし、エラーという事象は表層に起きた1つの現象にすぎず、その深層には何層にも積み重なった「根本原因」が隠されています。
その「根本原因」を解決しないことには本当の意味での問題解決には至りません。
ではその「根本原因」とはいったい何なのでしょうか。
ヒューマンエラーが「根本原因」となるのでしょうか。
ヒューマンエラーを発生させてしまった深層を見ていくと、病院システムの問題や偶発的な不可抗力が原因によってヒューマンエラーが誘発されていたことが実は多いです。
こういった「根本原因」を突き詰める手法として「根本原因分析法RCA(Root Cause Analysis )」などがあります。
つまり、ヒューマンエラーは事故の「根本原因」ではなく、いくつかのエラーが積み重なって起きる事象と言えます。
しかし、「人は誰でも間違える(To err is human)」ということは事実です。
ヒューマンエラーに関連する代表的な人間特性は
・生理学的特:寝不足、疲労蓄積、労働環境、人間関係のストレスなど
・心理学的特性:権威勾配による間違いの指摘ができない
・認知的特性:類似するものが近くにあると間違える
になります。
エラーが発生したとき適切な再発予防策を講じる際は、エラーが発生した「根本原因」を洗い出し、「人間特性+環境やシステム」を考慮する必要があります。
本書は解析手法の解説のみならず、30の事例を用いて「人間特性+環境やシステム」を考慮した再発予防策を漫画で分かりやすく解説してくれています。
本書のいいところ
何といっても非常に読みやすいです。
そして本の構成の流れも秀逸だと思います。
・何故エラーが起きるのか
・30の事例紹介、「どうしてこうなったのか」、「こうすればエラーがふせげる」
・システムと教育の改善策
の流れになっているため、すっと頭に入ってきました。
安全人間工学の理論と技術 ヒューマンエラーの防止と現場力の向上
医療安全に興味がある人全員におすすめです!!
- 安全の考え方
- ヒューマンファクター
- 現場改善
- マニュアルの制定と徹底
- 注意の特性と不注意
- 知覚、認知の特性と思い込み
- 認知モデル
- 診断
- コミュニケーションとチーム作り
- ノンテクニカルスキル
- 危険予知
- 安全態度
- 安全防護
- 職業適性と教育訓練
- 背後要因
- 職場風土と安全文化
- 安全マネジメントシステム
- 事故調査の基本
- 自己分析の手法
- 未然防止の手法
- 確率論的安全性評価
- 安全監査
となります。索引込み301ページ構成です。
どんな本?
本書は「医療安全」についてではなく、「安全管理」について記載されています。
何が違うの?
と思いますが、基本的には変わらないと思います。
むしろ、航空業界などの「安全管理」だったり、より「安全管理」について進んでいる業界の話が満載です。
もちろん、医療業界でも扱われている手法もあります。
例えば、「ダブルチェック」。
ダブルチェックの論理的根拠や健全なダブルチェックのデザインなど、より突っ込んだ話が展開されています。
さらに、コミュニケーションのツールで医療現場の話で「TeamSTEPPS®」が出てきます。
- TeamSTEPPS®:米国国防省が中心に開発したチーム医療パフォーマンス向上プログラム
- SBAR:(Situation-Background-Assessment-Recommendation)
S(Situation:状況):どういう状況か
B(Background:背景):生じる背景
A(Assessment:評価):どのような理由で起きたか
R(Recommendation:提案):相手に期待すること
急いでいるときはS(状況:「大変です」などあいまいなS)だけ、Rだけ(提案:すぐ来てくださいなど)しか伝えないと相手は困惑してしまう。
- Two チャレンジルール:患者の安全にかかわる自分の主張が無視されたときに少なくとも2回相手に対して主張する。
- CUS:患者安全にかかわる行為で不安を感じた時、
「気になります(concern)」
「不安です(uncomfortable)」
「安全の問題です(safety)」
と伝える。
- コールアウト:重大、緊急事態に対してチーム全体に大きな声で同時に伝える言い方。
- チェックバック:復唱すること。
- ハンドオフ:患者の引継ぎと申し送り項目を標準化したもの。
頭文字をとった「I PASS BATON」が推奨される。
I(Introduction):自分の名前
P(Patient):引継ぎ対象の患者
A(Assessment):対象患者の評価(現在の主訴、バイタルサイン、症状、診断)
S(Situation):現在の患者の状況
S(Safety Concern):患者に関する安全上の心配
B(Background):患者のこれまでの背景
A(Action):患者に対してとられた、とられる措置
T(Timing):緊急性の時期
O(Ownership):患者責任の所在
N(Next):患者に今後予想される事態
他にも、確証バイアスやサンクコストの呪縛など「行動経済学」の話も載っています。
多角的な視点から「安全管理」について論じられている良書だと思います。
本書のいいところ
安全管理についての圧倒的な情報量を誇るところです。
私は読んでいて終始、「へえ」、「なるほど」と言っていました。
また、内容をすごくわかりやすいため、初学者でも大丈夫だと思います。
医療について書かれているところは少ないですが、他の業種の話や大きな事故についての記載があるため、逆に知らないことが多くて新鮮でした。
本書を読むことで幅広い視野や考え方を学ぶことができると思いました。
教育や権威勾配についても記載があるため、初学者のみならずベテランも重宝する1冊だと思います。
ビジネス
医療機器メーカーと多く接する機会がある「機器管理」。
また、新規医療機器購入に際しては、病院側と購入交渉も必要となります。
そのため、「機器管理」は、病院内の「営業職」と言っても過言はないと思っています。
そんな「病院内の営業職」である臨床工学技士におすすめなビジネス書を紹介。
コンサル1年目が学ぶこと
仕事をしている人すべてにおすすめです!!
- コンサル流話す技術
- コンサル流思考術
- コンサル流デスクワーク技術
- プロフェッショナルビジネスマインド
計224ページ。
サラリーマンとか、医療系とか、1年目とか関係なくおすすめ。
どんな本?
「仕事をする上では基本的な技術。知らないと損するし、ミスにもつながる。」
そんな内容が多数記載されています。
しかし、私がこのような技術(考え方)をどのように身に着けたかというと
仕事中の試行錯誤、失敗から学習、どうすればいいかを考えた結果だったと思います。
そのため、社会人1年目にはいい教科書だと思います。
正直、もっと早く知りたかったと思いました。
仕事をする上での経験則、こうしたほうがいいよなとなんとなく考えていたものが言語化されていて非常に有益。
また、新人ではなくても復習に使えると感じました。
さらにいえば、特に「医療安全」に活かせるのではないか。
と思いました。
「医療安全」は専門知識もさることながら、「コミュニケーション」、いわゆる「ノンテクニカルスキル」が重要になります。
例えば、本書冒頭にも記載されている「RESP法」
P(Point):結論
E(Reason):理由付け
S(Example):具体例
P(Point):結論の繰り返し
簡単に言うと結論ベースで話しなさい。そのあとに理由を話しなさい。
というものです。
「医療安全」には「SBAR」というものがあります。
S(Situation:状況):どういう状況か
B(Background:背景):生じる背景
A(Assessment:評価):どのような理由で起きたか
R(Recommendation:提案):相手に期待すること
「大変です(S)、来てください(R)」だけでは話が通じない。
両方ともコミュニケーションスキルであり、相手にわかりやすく伝えるといったところが非常に似ているなと感じました。
また、本書には「ロジックツリー」の記載もありました。
ロジックツリーとは課題をツリー状に整理・分解して、それぞれ数値分析を行い、最後の項目ごとに重みづけをします。
例えば、やせるという課題に対しては
- カロリー摂取量をへらす
- カロリー消費量を増やす
- 体内の不要蓄積物を除去する
に分類できそうです。
これを更に分解すると
カロリー摂取量をへらす
- 口からの摂取量を減らす
- 体内への吸収率を下げる
カロリー消費量を増やす
- カロリー放出量を増やす
- 基礎代謝率を上げる
体内の不要蓄積物を除去する
- 脂肪を除去する
- 脂肪以外の老廃物を除去する
になりそうです。
何か見たことがあるなと思いました。
そう、「故障の樹解析(FTA: Fault Tree Analysis)」です。
信頼性工学の手法の1つで、設定した頂上事象に対して発生の原因や潜在的な可能性を識別、解析する方法です。
たとえば、自転車の故障というトップ事象に対して、タイヤ、ブレーキ、ハンドルなどと故障部位を上げていきます。
さらにタイヤの故障に関して、パンク、タイヤが外れる、タイヤが曲がるなどさらに細かく上げていきます。
トップダウンの方式で解析する手法でしばしば「医療安全」にも用いられています。
このように、医療の現場ですでにじっせんしているような内容、必要な内容が満載の本になっています。
本書のいいところ
非常に読みやすく、わかりやすい。
また、最初の2つ「話す」、「考える」に関しては読んですぐ実践できることがいい点。
すぐには実践できなくても資料作りや、ビジネスマインドなども学べるのは大きいです。
本書を使って「医療安全」含め、後輩教育にも使おうかなと思います。
NO.1営業力 脳を理解すれば誰でも奇跡のトップセールスになれる
特に機器管理をする臨床工学技士におすすめです!!
- お客様の脳の動き方
- トップセールスの脳の使い方
- トップセールスが実践する5つのプロセス
- お客様の心を操るセールステクニック
- お客様を虜にする魅力のつくり方
- 出会いを感動に変える天使の営業マン
医療機器メーカーの「営業」と関わることはもちろんのこと、新規医療機器を購入する際は病院相手に交渉する「営業」的な動きをします。
そのため、その頻度が高い機器管理業務に従事している臨床工学技士は知っていて損はないと思います。
どんな本?
「No1営業」になるためにどうしたらいいか。
を大きな題目として書かれている本書。
トップセールスになるために大きな才能は必要がなく、大事なことは自分と相手(お客さん)の心理。
では、自分と相手の心理をどのように考えれば良いでしょうか。
自分の心理
イメージできないことを実際に行動することはもちろんできません。
そのため、イメージは非常に重要になります。
また、そのイメージがどのくらいのレベルなのか。
たとえば、ある商品を100個売れるイメージをした営業マンと1000個売れるイメージをした営業マンを比べるとその差は一目瞭然になります。
では何故差が生まれるのでしょうか。
100個売れる(売る)イメージをした営業マンは100個売るためにどのような行動を起こせばいいのかを考えます。
1000個売れる(売る)イメージをした営業マンは1000個売るためにどのような行動を起こせばいいのかを考えます。
イメージ段階の差がそのままその後の行動にまで差をつけてしまいます。
スポーツなどでも同じことが言えると思います。
野球で自分がヒットを打つイメージができない人はヒットが打てず、サッカーでゴールをきめるイメージができない人は、実際にゴールは決められません。
つまるところ、自分がイメージできた姿は現状考えうる自分の限界の姿とも言えます。
- 反省せずに検証しろ
これはいい考え方だと思いました。
「あそこで、あれを言ったのはマズかった」
ではなく、
「あそこでこう言えば、次回はもっとうまくいく」。
過去の失敗をなぜ失敗したのかを考え検証することで自分のスキルをより高めることができます。
しかし、ヒトは往々にして、反省し、後悔をしてしまいます。
後悔することでマイナスのイメージが付き、苦手意識がついてしまいます。
よって、マイナス点をみる「反省」よりプラスにするよう考える「検証」のほうが心理的によく作用します。
お客さんの心理
別に商品を買いたくないなと思っているお客さんにごり押ししても相手は「不快」になるだけ。二度とそのお店には行かなくなります。
逆を返せば、「不快」から「快」にお客さんの心理状況を変えることができれば、お客さんは商品を購入したり、リピートしたりします。
では、どのようにすれば「不快」から「快」に変えることができるでしょうか。
一番大事なことは
- 営業マンであることをお客さんに忘れさせること
になります。もちろん、営業マンは商品などを売らなければなりませんが、売ろう売ろうとしている人に対してお客さんは警戒をします。
そのため、営業マンとして「売ろう」から「喜んでもらう」へチェンジする必要がある。
- デメリットや欠点も正直に伝える
これは私にも経験があります。
私は新しい医療機器や他社の医療機器を紹介されたとき、デメリット・欠点についても聞きます。
もしデメリット・欠点について言及がなければ、その営業マンに疑念を感じてしまいます。
なぜなら、もしデメリット・欠点がまったくない医療機器だった場合、その医療機器のシェアは100%近くになっていなければおかしいためです。しかし、そのような医療機器はおそらくないはずです。
では、何故デメリット・欠点がないのにも関わらず、シェア100%になっていないのでしょうか。企業努力が足りなのでしょうか。
そんなことはないはずです。
- 単純に製品を紹介した営業マンの知識不足
- 購入してもらうため、意図的に隠していた
などが考えられます。
いずれにしてもそのような営業マンを信用はできません。
本書にも似たような記載がありました。
「物事が完璧すぎると逆にうさん臭く感じてしまう」と。
本書のいいところ
さらさらっと読めるところ。
「当たり前じゃん」と思うところも一部あったが、知っていたけど再確認の意味も踏まえて面白かった。
さらに、実際に使える心理学的な要素もたくさん載っているため、今度使ってみようと思えました。
営業マンだけでなく、医療従事者として、新規医療機器購入にあたって自分の意見を通したいときに活用できるなと思いました。
さいごに
機器管理おすすめ本として紹介させていただきました。
これからもいい本があれば更新してこうと思います!!
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