病院内では多数の医療機器が使用されています。
医療機器に関係する法律はなにかあるの?
ということで今回は医療機器に関係する法律のひとつ、「医療法」についてみていきたいと思います。
医療法
医療法の目的は
医療を提供する体制の確保を図り、国民の健康の保持に寄与すること
です。2007年に改正された医療法。この時の改正では
- 医療の安全を確保するための指針の策定
- 従業者に対する研修の実施
- その他医療の安全を確保するための措置
を講じなければならなくなりました。
このなかで「医療の安全を確保するための措置」のなかには
- 安全管理
- 院内感染対策
- 医薬品に係る安全管理
- 医療機器に係る安全管理
が記載されています。
「医療機器に係る安全管理」の内容は?
医療機器に係る安全管理の内容は
医療機器安全管理責任者を配置し
- 従業者に対する医療機器の安全使用のための研修の実施
- 医療機器の保守点検に関する計画の策定及び保守点検の適切な実施
- 医療機器の安全使用のために必要な医療機器の情報収集、安全使用のための改善、方策の実施
とされています。
では、それぞれみていきましょう!!
従業者に対する医療機器の安全使用のための研修の実施
研修を実施?
- 新しい医療機器の導入時研修
- 特定機能病院における定期研修
医療機器の保守点検に関する計画の策定及び保守点検の適切な実施
- 保守点検計画の策定
計画を策定するには添付文書を参照し、機種別に保守点検の時期などを記載する必要があります。
- 保守点検の適切な実施
保守点検の実施状況や使用状況、修理状況、購入年数を記録し、保守点検状況を評価して安全面に拝領した医療機器を採用する必要があります。
在宅など、医療機関以外で使用されている医療機器も含まれます!!
医療機器の安全使用のために必要な医療機器の情報収集、安全使用のための改善、方策の実施
情報の収集?
- 添付文書の管理
- 医療機関外よりの情報収集
医療機器の不具合、安全選情報等の安全使用のために必要な情報を収集し、得られた情報を適切に提供する必要があります。
- 医療機関管理者への報告
保守点検
保守点検について深堀していきましょう!!
保守点検をしなければいけない医療機器を「特定保守管理医療機器」といいます。
※「特定保守管理医療機器」は「医薬品医療機器等法」に定められています。
保守点検の定義
保守点検:清掃・校正(キャリブレーション)・消耗部品の交換
→解体して点検し、必要に応じて劣化部品の交換をするオーバーホールは含まれない。
修理:故障・破損・劣化等の箇所を本来の状態・機能に復帰させること
→医療機器製造業または修理業の許可を得た者しか行えない
臨床工学技士ができるのは「医療機器の操作および保守点検」です!!
保守点検計画を策定すべき医療機器
機種別保守点検計画を策定する必要があります。保守点検が必要と考えられる医療機器は以下が含まれます。
- 人工心肺装置及び補助循環装置
- 人工呼吸器
- 血液浄化装置
- 除細動装置
- 閉鎖式保育器
- CTエックス線装置
- 診療用高エネルギー放射線発生装置
- 診療用粒子線照射装置
- 診療用放射線照射装置
- 磁気共鳴画像診断装置(MRI装置)
臨床工学技士が関わる医療機器は①~⑤ですね!!
保守点検計画には
- 医療機器名
- 製造販売業者
- 型式
- 保守点検を予定する時期、感覚、条件など
を記載する必要があります。
医療機器管理台帳をデータベースや機器管理システムなどで管理すると便利です!!
機器管理システムを使用する際は「サイバーセキュリティ」にも注意しましょう。
保守点検の適切な実施
保守点検の記録は何が分かるようにすればいいの?
- 医療機器名
- 製造販売業者名
- 型式・型番・購入年
- 保守点検の記録
- 修理の記録
上記記録以外にも、保守点検をした際に得られた情報はできる限り記録・保存する必要があります。
保守点検の実施主体
保守点検の主体は「医療機関」であり、医療機関が自ら適切に実施すべきであるが、医療機器の保守点検を適切に行うことができる者と認められるものに委託することが可能です。
外部委託が可能!!
さいごに
今回は「医療法」に記載されている「医療機器」の分野について取り上げました。「医療法」は病院の立場の法律であり、「医療機器」の法律は「医薬品医療機器等法」です。
「医療法」と「医薬品医療機器等法」について理解しておこう!!
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