医薬品医療機器等法ってなに?
医療機器を扱う上で、医療機器関連の法律は知っておきたいところ。
今回は医療機器関連の法律である「医薬品医療機器等法」について見ていきたいと思います。
↓「医療法」について医療機器部分を抜粋しました。
医薬品医療機器等法
医薬品医療機器等法の正式名称は「医薬品、医療機器等法の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。
医薬品医療機器等法は2014年に施行されました。
医薬品医療機器等法の目的は
- 医薬品、医療機器等に係る安全知策の強化
- 医療機器の特性を踏まえた規制の構築
- 再生医療等製品の特性を踏まえた規制の構築
です。
2019年に法改正され、2022年まで段階的に施行されました!!
- 医薬品、医療機器をより安全・迅速。効果的に提供するため開発から市販後までの制度改善
- 薬剤師、薬局のあり方の見直し
- 信頼確保のための法令遵守体制等の整備
などが変更されました。
添付文書の電子化、医薬品などの包装へのバーコードなどの表示の義務化などです!!
医療機器の定義
医療機器の定義は
- 人・動物の疾病の診断、治療、予防に使用される
- 人・動物の体の構造、機能に影響を及ぼす
ことを目的とする機械用具
で、7分類あります。
- 機械用具:84種
- 医療用品:6種
- 歯科材料:9種
- 衛生用品:4種
- プログラム:3種
- プログラムを記録した記録媒体:3種
- 動物専用医療機器:14種
医療機器の分類
医療機器の分類を見ていきましょう!!
医療機器のクラス分類
医療機器を使用することで生じる不具合が人体に与えるリスクの程度
できます。
- 高度管理医療機器
- 管理医療機器
- 一般医療機器
に分類できます。
それぞれ詳しく見ていきましょう!!
高度管理医療機器の定義
医療機器であって、副作用又は機能の障害が生じた場合(適正な使用目的に従い適正使用された場合に限る)において人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることからその適正な管理が必要なもの
高度管理医療機器はクラスⅣ、Ⅲです。
管理医療機器の定義
高度管理医療機器以外の医療機器であって、副作用又は機能に障害が称した場合において人の生命及び健康に影響を与えるおそれがあることから適切な管理が必要なもの
高度管理医療機器はクラスⅡです。
一般医療機器
高度管理医療機器及び管理医療機器以外の医療機器であって、副作用又は機能の障害が生じた場合においても、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないもの
高度管理医療機器はクラスⅠです。
人の生命や健康にどのくらい影響を与えるか、で分類されていますね!!
また、「保守管理」・「設置管理」における分類もあります。
特定保守管理医療機器:「保守管理」における分類
医療機器のうち保守点検、修理その他の管理に専門的な知識及び技能を必要とすることからその適正な管理が行われなければ疾病の診断、治療又は予防に重大な影響を与えるおそれがある医療機器
一般医療機器~高度管理医療機器に特定保守管理医療機器があります
設置管理医療機器:「設置管理」における分類
設置に当たって組立てが必要な特定保守管理医療機器であって、保健衛生上の危害の発生を防止するために、当該組立てに係る管理が必要なものとして厚生労働大臣が指定する医療機器
修理業による区分
医療機器を修理するには「修理業」の許可を受けていなければなりません。修理とは故障、破損、劣化箇所を本来の状態・機能に復帰させることであり、オーバーホールも含みます。
修理区分は「特定保守管理医療機器」と「特定保守管理医療機器以外の医療機器」についてそれぞれ9区分の計18区分あります。
- 画像診断システム関連
- 生体現象計測・監視システム関連
- 治療用・施設用機器関連
- 人工臓器関連
- 光学機器関連
- 理学療法用機器関連
- 歯科用関連機器
- 検体検査用機器関連
- 鋼製器具・家庭用医療機器関連
医療機器を取り扱う業態
製造販売業、製造業、販売業、修理業があります!!
製造販売業
製造販売の定義
製造した医療機器若しくは再生医療等製品をそれぞれ販売し、貸与し、若しくは授与し、又は医療機器プログラムを電気通信回線を通じて提供すること
医療機器を製造販売するためには厚生労働大臣の許可を受けなければなりません。
製造販売業には
- 第一種製造販売業:高度管理医療機器を扱う
- 第二種製造販売業:管理医療機器を扱う
- 第三種製造販売業:一般医療機器を扱う
の3分類になります。これらは「一法人一許可」とされています。
高度管理医療機器と管理医療機器を製造販売するには第一種製造販売業の許可を取得する必要があります。
製造業
製造業の登録
業として、医療機器又は対外診断用医薬品の製造をしようとする者は、製造所(製造所の行程のうち、設計・組立て・滅菌・最終製品の保管)ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けなければならない。
対象は
- 設計
- 組立て
- 滅菌
- 最終製品の保管
です。
販売業
高度管理医療機器等を販売、授与、貸与、それらの目的で陳列または電気通信回路を通じて提供を行う場合、販売業・貸与業の許可が必要です。
修理業
医療機器を修理するには「修理業」の許可を受けていなければなりません。修理とは故障、破損、劣化箇所を本来の状態・機能に復帰させることであり、オーバーホールも含みます。
修理業の許可は修理区分ごとに都道府県知事から許可を得る必要があります。許可の要件として
- 製造所の構造設備が「薬局等構造設備規則」の各区分の基準に適合
- 申請者が欠格条項に該当しない
- 事業所、修理区分ごとに責任技術者を設置
があります。
添付文書
医療機器の適正情報を伝える手段が「添付文書」です。添付文書の記載項目は
- 作成又は改訂年月
- 承認番号等
- 類別及び一般名称等
- 販売名
- 警告
- 禁忌・禁止
- 形状・構造及び原理等
- 使用目的又は効果
- 使用方法等
- 使用上の注意
- 臨床成績
- 保管方法及び有効期間等
- 取り扱い上の注意
- 保守点検に係る事項
- 承認条件
- 主要文献及び文献請求先
- 製造販売業者及び製造業者の氏名又は名称
となっています。
添付文書にもルールがあるんですね!!
回収
医療機器等に何等かの不良・不具合が生じた場合、確実に回収する必要があります。回収に着手した旨、回収状況を厚生労働大臣に報告する義務があります。
- 回収:引き取ること
- 改修:移動なしに修理、改良、調整、廃棄、監視すること
- 患者モニタリング:製品を患者から摘出することなく、使用している患者の経過を観察すること
回収の基本はクラスⅡであり、最終的には厚生労働省に相談の上ⅠないしⅢになります。
クラスⅠ:その製品の使用等が、重篤な健康被害又は死亡の原因となりうる状況
クラスⅡ:その製品の使用状況が、一時的な若しくは医学的に治療可能な健康被害の原因となる可能性のある状況又はその製品の使用等による重篤な健康被害のおそれがまず考えられない状況
クラスⅢ:その製品の使用等が、県呼応被害の原因となるとはまず考えられない状況
回収がでたときは、回収のクラスをみてみましょう!!
さいごに
今回は「医薬品医療機器等法」について書いてきました!!
といっても、医薬品医療機器等法はまだまだあります。今回は病院で働く臨床工学技士には知っておきたい内容を記載していきました。
医薬品医療機器等法はむしろメーカーで働く人たちは理解しておきたいところだと思います!!
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