社会で生活していると「集団」との関わりは避けて通れません。
そもそも「集団」とはいったなに?
それではまず、「集団」について見てきましょう。
集団ってなに?
集団とは「複数の人々からなる、社会的なまとまりのこと」をさします。
どんな集団があるの?
会社や学校も1つの集団であり、近所の公園などの仲良しグループの集団です。
会社や学校などは「明確な目標と役割分担が組織化」されているのに対し、仲良しグループは情報交換などを行う集団とされています。これら集団は互いに依存関係にある人々が、対面的な相互作用を通して、共通の目標に向かって役割を果たしています。さらに集団は意識されることによって影響力を発揮する性質もあります。
海外旅行に行くと自分が日本人であることを意識する、というような状態です。
この場合、「日本人」という集団のことを内集団、外国人を外集団といいます。
次に「集団」の行動について考えていきます
集団の行動を考える際、「集団凝集性」が大事です。集団凝集性とは、成員を集団に引き付けて留まらせるように働く力をさします。
凝集性が高い集団の特徴は
- 成員たちは目標に向かって互いに協力し合う傾向
- 過度に凝集性が高くなった集団は内部統制がおろそかになる恐れ
- リーダーの指示が通りやすく、成員関係の影響関係が強い
- 自身を集団の一員とみなす集団同一視の傾向が強くなり、自分たちをひいきする
です。
集団凝集性が高ければ、リーダーからの指示が通りやすく、目標に向かって協力し合う反面、内部統制が取れなくなったり、自分たちをひいきしてしまう可能性がある!!
身に覚えがあります・・・
次に「集団規範」についてです。集団規範とは、集団の中における行動について適切・不適切の信念のことです。校則や社訓など明文化されているもの、成員の間で暗黙のうちに共有されているものがあります。集団凝集性が高ければ、集団規範が与える影響は高くなるとされています。
次に集団の構造について!!
つくられたばかりの集団と比べ、歴史ある集団は地位・役割が細分化して機能するようになっています。役割の細分化はスポーツで言う「ポジション」であり、何がえらい・悪いなどはないはずです。が、現実では何かしらの評価が付加されています。その評価が地位です。
次は集団の課題遂行についてです。
集団で課題を行う場合、
- 社会的促成
- 社会的手抜き
という現象があります。
社会的促進とは
一人で課題を遂行するよりも他者と一緒に課題を遂行した方が成績が良くなる現象
です。
この社会的促進は容易な課題で発生しますが、難しい課題の場合は逆に成績が悪くなるとされています。
社会的手抜きとは
1人のときよりも集団状況のほうが本来なら発揮できるはずの個人の能力が生かしきれなくなり課題遂行能力が低下する現象
です。
- 綱引き
- 拍手
などで社会的手抜きは発生しやすいです。
社会的手抜きはモノゴトにおいて責任の拡散がおきて課題に取り組む動機付けが低下するため発生します。そのため、参加する人数が増えれば手抜きも増加していきます。しかし、新商品のアイデア出しなどの課題では発生しにくいとされています。
次に同調について
同調とは
自分の意見や信念を曲げて、多数派に従ってしまうこと
です。
アッシュの同調行動の実験が有名です!!
アッシュの同調行動の実験
左側と同じ線分の長さはどれか3つの中から求める実験。1人でこの課題を行った場合は正答率がほぼ100%だった。次に被験者1人と実験協力者7人からなる8人で同様の実験をおこなった。その際、実験協力者は被験者より先に解答し、なおかつわざと間違えるよう指示されていた。すると、誤答率が32%まで上昇した。
1人で課題を行うと正答率はほぼ100%!!
複数人で課題を行い、前の解答者がわざと間違えると誤答率が32%まで上昇した結果!!
同調が起こりやすくなる要因として
- 集団凝集性が高い
- 集団内の地位が低い
- 多数者が全員一致
などがあげられます。
周りから拒絶されたくない、集団の和を乱したくない、承認されたい、賞賛されたい・・・
そんな気持ちから「同調」が誘発されます。
周囲と自分は同じ・・・?
フォールス・コンセンサス効果と多元的無知(集合的無知)があります。
- フォールス・コンセンサス効果
自分と同じ考えを持つ人たちが実際よりも多くいるような錯覚
- 多元的無知(集合的無知)
集団内で実際に多数側にも関わらず自分が少数派と錯覚
少数派の意見は黙殺されるの?
少数派の意見に対して影響力を持たせるためには
- 争点に対して一貫した異論を唱え続けること
- 問題となる争点以外は多数者との共通点を備えていること
- 変革や独自性が求められていること
こういった場合は少数派の意見に影響力を持たせることができます。
さいごに
今回は「集団」について、心理学の観点から記事を書いていきました。実際に「アッシュの同調行動の実験」などの状態は日々暮らしているとよく発生すると思います。
この記事が少しでも参考になれば幸いです!!
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