ヒトは見たこと・聞いたことに関してそのまま認知しているわけではありません。

どういうこと?
「目の錯覚」、聞いたことありませんか?
今回は「目の錯覚」にスポットをあててみたいと思います。
錯視・錯覚

目の錯覚ってなに?
モノを知覚するためには、モノによる刺激を感覚器官で情報処理することで知覚できます。そのため、モノと知覚の間にはズレがあり、このズレにより錯覚が生じてしまいます。


錯覚が起きる原因は?
視覚的錯覚(錯視)が発生する原因として
- 明るさ
- 色彩
- 形
- 大きさ
- 奥行き
- 位置
など、様々な原因で錯視が起きます。

どんな錯視があるの?
では、錯視について見ていきます。
ミュラー・リヤー錯視

ミュラー・リヤー錯視?
ミュラー・リヤー錯視とは下の図みたいなものです。


上と下、どっちが長い?
ぱっと見、上の図のほうが長く見えますが、実際は下の図のほうが線は長いです。

ツェルナー錯視

ツェルナー錯視?
ツェルナー錯視とは以下の図です。

横の線は全て平行に書かれていますが、平行には見えません。
エビングハウス錯視

エビングハウス錯視?
エビングハウス錯視とは以下の図です。

左の図と右の図では、真ん中の円の大きさは同じですが、左の方が大きく、右のほうが小さく見えてしまいます。
デルブーフ錯視

デルブーフ錯視?
デルブーフ錯視とは以下の図です。

真ん中の色が塗られた円は両方とも同じ大きさですが、左の方が大きく、右のほうが小さく見えます。
ボールドウィン錯視

ボールドウィン錯視?
ボールドウィン錯視とは以下の図です。

四角の間に挟まれた線、この線の長さは同じですが、そうは見えません。
主観的輪郭

主観的輪郭?
主観的輪郭とは以下の図です。

右の図では円の中に直角の穴が開いているよな図形が4つあいています。この4つの図形が並んで配置されると、白い四角が存在しているように見えます。左の図は三点を結ぶ三角形が見えてきます。
これを「空間補完効果」と言います。
概念的駆動処理

概念的駆動処理?
概念的駆動処理とは以下の図です。

この上と下の図の真ん中は両方とも同じ形をしています。が、上の図では「13」、下の図は「B」に見えます。

なんで?
知識や意図が見え方に影響するからです。目に映ったものを分析して認知をしています。トップダウンで分析しており、同じ文字が前後の文脈によって別のものに読まれています。
ルビンの壺

ルビンの壺?
ルビンの壺とは以下の図のようなものです。


私が「ルビンの壺」を似せて作ったものですが・・・
この図では
- 白地に青い向き合った顔
- 青地に白い杯
に見えます。
形を知覚するには図と地という考え方が重要になります。図とはまとまりがあって際立っている部分、地はそれ以外の部分を指します。

つまり、図とは形のあるもの。地は背景です。

一般的により小さく、閉じた領域が図として認知されやすいです。

ルビンの壺は図と地を切り替えて認識しています。さらに、白地に青い向き合った顔・
青地に白い杯が同時に見えることはありません。
回廊錯視

回廊錯視?
回廊錯視とは以下の図です。

この図でに描かれている円柱は全て同じ大きさです。しかし、遠くにおかれている円柱のほうが大きく見えてしまいます。

本当に同じ大きさ?
では、円柱以外の線を消してみましょう。

こうしてみると同じ大きさであることがすぐわかります。
安全管理
では、もう一度「ルビンの壺」を見てみましょう。

この図を始めてみるとき、「壺の絵」と言われてから見ると「向き合っている絵」を見ることができません。つまり、ヒトが何かを判断する際は今までの経験をもとに判断している、と言えます。「壺の絵」と言われた「経験」から「壺の絵」にしか見えないということです。

この図でも同様です。12と14の間の数字は「13」の可能性が高い、という経験から上の図は「13」に見え、AとCの間のアルファベットは「B」の可能性が高いという経験から「B」に見えてしまいます。

この図も過去の経験から奥の図のほうが大きく感じてしまいます。

過去の経験や思い込みや先入観でヒトは容易に間違えてしまう!!
ヒトが見ているモノはひどく曖昧であり、すぐに間違えてしまいます。そのため、経験や勘頼みで行っている作業を見直し判断基準があいまいなモノはマニュアル化することで、ヒューマンエラーを減らすことができます。
さいごに
今回は「錯視」について書いていきました。目に見えているモノは実はひどく曖昧であり、ヒトによって見えているモノが違う場合があります。結果エラーに繋がってしまう可能性があります。
エラーを減らすために、「錯視」について十分理解しましょう。
参考図書
- 心理学
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