今回はP0.1とΔPoccについて。
まずはP0.1について。
P0.1に関する論文
そもそもP0.1とはいったいなんでしょうか。
P0.1ってなに?
P0.1は日本語で言うと「気道閉塞圧」です。
P0.1とは、呼吸器回路を0.1秒(100ms)閉塞させたときの圧力変化です。
閉鎖されている状態で息を吸うため、圧力は陰圧になります。
図にするとこんな感じ。
この陰圧の具合をみることで
- 中枢の呼吸ドライブ
- 努力呼吸
についてわかります。
P0.1が低ければ呼吸ドライブが小さく、逆に大きければ努力呼吸といえます。
↓P0.1について詳しく書いてあります。
↓これもP0.1について詳しく書いてあります。
※P0.1以外も記載されていますが・・・
ここでは正常の吸気ではP0.1が低く、努力呼吸ではP0.1も大きくなります。
これはイメージしやすいと思います。一方、
P0.1が大きいにも関わらず、吸気努力(食道内圧)はそこまで大きくない場合があります。
人工呼吸器によってP0.1の値は変わるの?
↓それを調べた論文がこちら。
人工呼吸器
- SERVO U
- Elisa 800
- PB980
- R860
- Evita4
で実測のP0.1と人工呼吸器のモニタで表示されたP0.1を比べています。
これによると、SERVO UのP0.1が若干よさそうですが、全体的にP0.1を過小評価しているという結果に。
P0.1の値が実際より少し小さくなるのか!
また、別の論文を見てみます。
この論文では
- SERVO-U
- Engstrom
- PB840
- Evita-XL
でP0.1を比べたものです。
Auto-PEEPを発生させた状態だと、今度は逆にSERVO-UのP0.1が実測と比べてモニタ値がずれるという結果に。
患者さんの状態などでモニタリングされているP0.1が変わってしまうため注意が必要です。
また、Edi(横隔膜活動電位)やPmus(患者吸気圧)、PTP(pressure time product:吸気相の食道内圧の陰圧へのふれを時間積分したもの)とP0.1は相関するという結果に。
P0.1は呼吸努力を示す指標に相関する!
↓Edi(NAVA)関連の記事
ΔPocc
つづいてΔPocc(ΔP Occlusion)です。
ΔPoccとは気道閉塞中に患者の吸気努力によって生じる気道内圧の変化です。
どういうこと?
呼気ポーズ時間を長くして自発呼吸全体の陰圧具合を調べます。
自発呼吸をしているとき(呼気終末)に、人工呼吸器を閉塞させます。閉塞しているときに息を吸うため、回路内は陰圧になります。このときの陰圧をΔPoccと言います。
図にするとこんな感じ。
ΔPoccにもいろいろ論文があります!!
↓ΔPoccについて示した論文。
この論文では
- ΔPes=0.66×ΔPocc
になりそうだ、と示されています。
ΔPesとはΔ食道内圧です。
つまりΔPoccに0.66、つまり2/3をかけた値が食道内圧を示す、ということです。
ΔPoccが15だった場合
ΔPes=2/3×15=10cmH2O
になります。
ΔPoccを測定することで簡易的に食道内圧が分かるのはうれしい
↓食道内圧の関連記事
↓P0.1とΔPoccについて書かれた論文がこちら!
COVID-19患者に対してVCVから自発呼吸のモードにした際、P0.1とΔPoccを測定。
P0.1とΔPoccが呼吸状態悪化の指標になるか調べたものです。
呼吸状態の悪化した群はP0.1は大きくなりΔPoccの陰圧が強くなり、P0.1とΔPoccは呼吸状態悪化を予測できるという結果。
呼吸状態の予測に使えるなら簡単だし使っていきたいところ
↓吸気終末にホールドするPMIについてはこちら
P0.1・ΔPoccの値はどのくらいがいいの?
どのくらいがいいの?
↓この論文にまとめられています。
- P0.1:1~4cmH2O
- ΔPocc:8~20cmH2O
- ΔPes:3~15cmH2O
と、しています。
さいごに
P0.1とΔPoccの論文についてでした。
ΔPoccはポーズなどが必要であり、多用することは難しいかもしれませんが、P0.1は人工呼吸器で自動にモニタリングできる機種も多数あります。
P0.1の特性など、理解して活用していきましょう。
人工呼吸器に関する電子書籍をkindle出版しています。興味のある方は是非!!
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