小論文を書くキーワード選定
小論文を書く上で小論文の「キーワード」について知っておく必要があります。
「キーワード」?
どういうことでしょうか。
例えば、ME1種の過去問を見てみましょう。
ある病院でME機器の誤使用によって重大なトラブルが起こったという報道があった。あなたの職場内でも同様のME機器を使用(販売)していた場合に、あなたは医療の安全を確保するためにどのような行動をとるか。あなたの考えを800文字以上1000文字以内で述べなさい。
第1種ME技術実力検定試験 第17回の過去問より
この場合、医療安全を確保するための方法を「論じる」必要があります。
「論じる」ということは「筋道を立てて物事を説明する」必要があります。
説明するためには自分の感想を言ってはいけません。
理論的に説明する必要があります。
では理論的に説明するためにはどうしたらいいでしょうか。
それは各「キーワード」についてきちんと知っておく必要があります。
今回の場合、
- ME機器
- 医療安全
これらについて知っておく必要があります。
また、「改正医療法」には医療機器の適正・安全使用についてに記述があります。
今回の場合、これらキーワードについて知っていればある程度簡単に小論文を書くことができます。
そこで今回、小論文を書くために知っておくと便利な「キーワード」について説明していきたいと思います。
臨床工学技士
医師の指示の下に、生命維持管理装置の操作及び保守点検を行うことを業とする者
「臨床工学技士の将来像」などのお題の時に使えるキーワード。
- 医療機器の進歩からのアプローチ
臨床工学技士が誕生してから30余年経過している。臨床工学技士の業務は「医師の指示の下に、生命維持管理装置の操作及び保守点検を行う」ことである。これら生命維持管理装置ならびにその他ME機器は日進月歩の先端技術により、変容を迎えてきている。臨床工学技士が誕生した30年前の医療機器と比べ、現在発売されている医療機器は大きく様変わりしており、当時では考えられなかった技術や性能を有している。それらME機器を扱う「臨床工学技士」も大きく飛躍する必要がある。・・・・・
書き出しはこんな感じ。
「どんな臨床工学技士になりたいか」などのお題も考えられるためもうちょっと臨床工学技士を深堀します。
臨床工学技士とは臨床工学技士法によると
「医療の普及および向上に寄与することを目的」としてます。
また、臨床工学技士会の倫理網領、倫理規定を見てみます。
倫理網領
①人々の健康を守るために貢献すること
②チーム医療の一員として、専門分野の責任を全うすること
③医療を求める人々のため、常に研鑚に励むこと
④常に高い倫理観を保ち、全人的医療に貢献すること
倫理規定
①人々の健康を守るため、医療・福祉の進歩・充実に貢献すること
②個人の権利を尊重し、思想、信条、社会的地位などによる個人を差別することはしないこと
③業務上知り得た情報の秘密を守ること
④常に学術技能の研鑽に励み、資質の向上を図り高い専門性を維持し、臨床工学の発展に努めること
⑤医療機器の専門医療職であることを十分認識し、最善の努力を払って業務を遂行すること
⑥常に他の医療職との緊密な連携を図り、より円滑で効果的、かつ全人的な医療に努め信頼を維持すること
⑦後進の育成に努力すること
⑧不当な報酬を求めるなど、法と人道に背く行為はしないこと
⑨互いの交流に努め人格を調練し、相互に律すること
「チーム医療や自己研鑽、人の役に立ちなさい」といったことが重要視されています。
生命維持管理装置
「生命維持管理装置」とは、人の呼吸、循環又は代謝の機能の一部を代替し、又は補助することが目的とされている装置
ME機器、MEシステム
ME機器:医用電気機器。
MEシステム:製造側でいくつかの機器を組み合わせて1つの測定系や治療系を作ったときの組み合わせ。
- ME機器同士またはME機器と非ME機器の機能接続
- マルチタップで接続されたME機器同士またはME機器と非ME機器
※非ME機器同士の接続はMEシステムではない。
業務拡大、タスクシフト
- 2021年7月9日、改正された臨床工学技士法に関する政省令等が公布
- 血液浄化装置の穿刺針その他の先端部の表在化された動脈若しくは表在静脈への接続又は表在化された動脈若しくは表在静脈からの除去 ※従来の業務範囲であった「シャントへの接続又はシャントからの除去」に追加
- 生命維持管理装置を用いた治療において当該治療に関連する医療用の装置 (生命維持管理装置を除く) の操作 (当該医療用の装置の先端部の身体への接続又は身体からの除去を含む)
- 手術室又は集中治療室で生命維持管理装置を用いて行う治療における静脈路への輸液ポンプ又はシリンジポンプの接続
- 薬剤を投与するための当該輸液ポンプ又は当該シリンジポンプの操作並びに当該薬剤の投与が終了した後の抜針及び止血
(輸液ポンプ又はシリンジポンプを静脈路に接続するために静脈路を確保する行為についても、「静脈路への輸液ポンプ又はシリンジポンプの接続」に含まれる。)
- 生命維持管理装置を用いて行う心臓又は血管に係るカテーテル治療における身体に電気的刺激を負荷するための装置の操作
- 手術室で生命維持管理装置を用いて行う鏡視下手術における体内に挿入されている内視鏡用ビデオカメラの保持及び手術野に対する視野を確保するための当該内視鏡用ビデオカメラの操作
- 「臨床工学技士の将来像」について「タスクシフト」を題材にした例
近年「働き方改革」の話題は後を尽きない。それは医療業界においても例外ではない。2024年までに「医師の働き方改革」を遂行するために、医師の業務が一部、臨床工学技士にタスクシフトされた。2021年に「臨床工学技士法」が改訂され、「生命維持管理装置を用いて行う治療における静脈路への輸液、シリンジポンプの接続」、「内視鏡カメラの操作」などが新たに追加された。このように時代に併せて変容を遂げる「臨床工学技士」の業務だが、まだまだ新規業務開拓の可能性があると私は考える。・・・・・
医療安全、患者安全
- 医療安全:医療における安全と信頼を高め、患者を守る行動全般(主に日本で使用される)
- 患者安全: 医療に関連した不必要な害のリスクを許容可能な最小限の水準まで減らす行為(世界的に使用される)
↓医療機器に関する医療安全の小論文。改正医療法についても記載してます。
↓医療安全の新しい考え方「レジリエンス」について
改正医療法
改正医療法では医療機器の適正、安全使用のため
- 医療機器安全管理責任者の設置
- 医療機器を安全使用するための研修会実施
- 定期点検の計画策定と実施
- 医療機器安全使用するため情報収集、改善のための方策の実施
が求められています。
チーム医療
・医師・看護師・薬剤師などの医療従事者と患者自身が、平等な立場で意見と情報の交換を行い治療にあたる医療形態。
臨床工学技士は透析室業務、手術室業務、カテ室業務など基本的に多職種と関わる業務を行います。また、近年では「集中治療専門臨床工学技士」が制定、集中治療分野にも進出やRSTなどのチームに進出など、チーム医療に深い関わりがあります。
- 「チーム医療」と「臨床工学技士」について
病院内には人工呼吸器や血液浄化装置などの生命維持管理装置はもちろんのこと、生体情報モニタや輸液ポンプ、シリンジポンプなどの医療機器がいたるところに点在している。それら医療機器を医師や看護師のみならず他のコメディカルなど様々な職種が使用している。また、近年様々な医療機器が開発され、医療機器が高度化されてきている。そのため、病院内いたるところに点在する高度化された医療機器を安全に正しく扱うためには医療機器に深く精通した臨床工学技士の存在は必要不可欠である。・・・・・
2025年問題
2025年には、団塊の世代が75歳以上となります。この時点で、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人ほどが75歳以上になります。高齢者が増えれば、必然的に医療や介護のニーズは高まります。医療機関や介護施設、在宅など、看護師等が必要とされる場面は多くなります。
地域包括ケアシステム
2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるシステム。
- 「臨床工学技士の将来像」についてを「地域包括ケアシステム」を題材にした場合の例
2025年には国民の3人に1人が65歳以上となり、我が国は高齢化の一途をたどっている。政府は「地域包括ケアシステム」において、介護や在宅医療等の重要性を説いている。より充実した介護や在宅医療を施行するためには「かかりつけ医」が必要不可欠である。つまり、「かかりつけ医」であるクリニックや診療所などが重要になる。クリニックや診療所には「生体情報モニタ」や「心電計」など、医療機器を多数所持している。しかし、臨床工学技士が勤務しているクリニックや診療所は「透析クリニック」以外ほとんどない。そのため、「かかりつけ医」足るクリニックや診療所ならびに在宅医療に臨床工学技士が関わることが社会のニーズとマッチすると考えられる。・・・・・
↓在宅医療などについて記載した記事
↓予防と医療経済についての記事
AI(人工知能)
AI(人工知能)とは「人工的につくられた人間のような知能」であり「気づくことのできるコンピュータ」です。ただ、各研究者によってAIについての考え方はまちまちで「これがAIだ!」というような定義はありません。
近年、医療機器、特に画像診断の分野におけるAIの導入が進んでいます。MRIや超音波画像診断など、多岐にわたります。
臨床工学技士は生命維持管理装置の操作および保守点検を生業にしています。そのため、医療機器とAIを絡めた小論文が出る可能性も十分あると思います。
- 医療機器とAIについて題材にした例
掃除ロボットや検索エンジン、交通渋滞予測など、すでに私たちの周りにはAIを搭載した機器があふれている。医療機器の分野も同様に画像診断などにおいてAI機能が浸透している。血液浄化装置の「自動プライミング」、人工呼吸器の「自動ウィーニング」も一種のAIと言える。・・・・・・
↓AIに関する記事。
サイバーセキュリティ
サイバーセキュリティとは
不正ソフトウェアによる感染被害や、外部から不法に医療情報システムに侵入し、データを盗み取ったり、または破壊したりするような被害を受けるか、または被害には至らなくとも対応が必要になる事象に対する対応。
のことです。
「医療法施行規則第14条 第2項」に「サイバーセキュリティを確保するために必要な措置を講じなければならない。」と新たに記載され、2024年3月末までに対応しなければいけなくなりました。
↓サイバーセキュリティ関連記事。
医療DXなどのお題も最近では出ているため、サイバーセキュリティに関しても出てきそう。
さいごに
今回は小論文を書くために役立つキーワードをまとめました。
まだまだ知っておくと便利なキーワードはあると思いますので、随時更新していきます。
都道府県別臨床工学技士
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