Airway ClosureとAirway Opening Pressure
Airway Closure?
Airway Opening Pressure?
↓Airway ClosureとAirway Opening Pressureについて書かれた論文。
「Airway Closure」と「Airway Opening Pressure」とはいったい何でしょうか。
ARDS患者さんの中には一定の圧をかけるまで換気が入らない患者さんがいます。
図にするとこんな感じ。
縦軸が換気量、横軸が圧力です。
閉塞した回路のコンプライアンス程度までしか換気量が入らないポイントを「Airway Closure」と言います。そして、末梢気道開通に必要な圧力を「Airway Opening Pressure(AOP)」と言います。
では、なぜAOPが大事なのか考えていきます。
「Airway Closure」のところで圧力をかけても換気量は得られません。そのため、「Airway Opening Pressure(AOP)」を超えた圧力までPEEPをかけてあげる必要があります。
もし、「Airway Opening Pressure(AOP)」より低いPEEP設定をしていたらどうでしょうか。
「Airway Opening Pressure(AOP)」を超えるまで、人工呼吸器で設定した換気の圧力が無駄になってしまう可能性があります。
図にするとこんな感じ。
↓そんな疑問を提起しています。
また、コンプライアンス測定にも誤差が生じてしまう可能性もあります。
呼吸器系のコンプライアンスは
CRS=一回換気量÷(プラトー圧-total PEEP)
です。(プラトー圧-total PEEP)は別名、ドライビングプレッシャー(ΔP)と言います。
↓ドライビングプレッシャー(ΔP)に関する記事
「Airway Closure」の部分でかけた圧力は換気には関与しません。そのため、同じ圧力をかけても得られる換気量に差が生まれてしまいます。換気量に差が生まれるということは、呼吸器系のコンプライアンスの計算値も差が生まれてしまいます。
また、「Airway Opening Pressure(AOP)」はR/I比にも関係しています。
R/I比とは簡単に言うと「肺を拡げることができるかどうかの指標」です。
↓R/I比に関する記事
Airway ClosureとAirway Opening Pressureの論文
まずはこの論文!!
中等度から重症ARDSの41%が気道閉塞が発生していた、という結果。また、肥満患者も気道閉塞が発生する結果がでています。
次にAOPの測定方法について!!
通常AOPを測定するためには、低流量でガスを送り気道圧の抵抗成分を無視できるようにして測定します。低流量でガスを送り続けると、傾きが急勾配ののち、緩やかになります。
しかし、低流量の換気はなかなかできません。
そこで一定の流量(すなわち量規定換気)で、30~60L/minで換気して測定します。
※本研究では60L/min
まず、気道圧波形に傾きの変化が生じる気道内圧レベルとPEEPとの差を目視で測定します。変化が生じた圧-PEEPをPcondと言います。次にピーク圧-プラトー圧をPresと言います。
これらを用いて
AOP=PEEP+(Pcond-Pres)
で表すことができます。
さいごに
人工呼吸器の設定する際(特にPEEPの設定)、「Airway Opening Pressure(AOP)」について考えることが大事です。人工呼吸器を前にしたとき、AOPっていうのもあったなー、と思い出してもらえたらと思います。
↑このサイトにAOPの測定方法の動画があります。このサイトはR/I比を計算するサイトになります。
R/I比とはリクルータビリティをベットサイドで簡単に評価する方法です。
詳細は別記事にあります!!
人工呼吸器に関する電子書籍をkindle出版しています。興味のある方は是非!!
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