世の中で一番多い働き手はおそらく「営業」です。
世の中にどのような営業の人がいるか知ることができれば、それを「組織運営」や「業務拡大」に応用できると思います。
そこでまずは「営業」とは何なのかを考え、それを「臨床工学技士の業務」に当てはめていきたいと思います。
営業とは
では、「営業」とはいったい何なのかを考えていきます。
営業?モノを売って回るヒト?
営業のイメージはだいたいここんな感じだと思います。
しかし、実は一口に営業と言っても様々な種類があります。
- ソリューションタイプ営業
- ソルジャー営業
- 独占・殿様営業
- 来店待ちの反響営業
の4種類です。
では、それぞれ見ていきましょう。
ソリューションタイプ営業
まずはソリューションタイプ営業。
ソリューションってなに?
ソリューションタイプ営業は
ただモノを売るだけではなく、「市場を対話」を求められる営業
です。
「市場と対話」することをマーケティングといいます。
つまりソリューションタイプ営業とはマーケティングとセールスを行う営業です。
「市場と対話」することで市場の情報を持ち帰り、情報をもとに具体的な問題解決することまでを営業が行います。問題解決まで行うには幅広い業界知識、長い経験期間、経験値が必要になります。
市場において顕在化している問題のみならず、潜在化している問題を見つけ、その問題に対してどうすれば解決できるかを考え、ニーズに合ったモノを作ることができる営業がソリューション営業になります。
こうしてみると「医療業界」の営業もソリューション営業に見えますが、実は違います。
医療業界では「ニーズに合ったモノを作る」ことが難しいためです。
製薬会社や医療機器業界では
- 自社のラインナップは決まっている
- 新製品開発に5~10年程度必要
- 厚生労働省の認可が必要
などの制約があるため、ニーズに合ったモノを作るのが他の業界と比べ難しいためです。
ソルジャー営業
ソルジャー営業ってなに?
ソルジャー営業とは
外回り営業のため、「製品が売れないのは営業のせい」となってしまう営業
です。
製品がショボすぎるから売れない
営業がちゃんとやってないから売れない
このような「軋轢」が生まれやすいのが特徴です。
- 保険会社
- 製薬会社
- 医療機器業界
などがあたります。
似たような製品を売る場合を考えてみます。例えば居酒屋でよく聞く
とりあえずビール
多くの人が言ったことがある言葉だと思います。
「ビール」の銘柄を指定しておらず「ビール」なら何でもいい状態です。
このような場合、「差がつくのは気合と根性」となりがちでブラック化しやすい特徴があります。
また、製品ではなく
- 「人間力」の差
- その他のサービス
が出やすくなってしまいます。
「24時間365日対応します」みたいなサービスや「新規購入でおまけに洗剤とつけます」などといったサービスです。
競合に勝つために
- 組織を規律正しく統制
- ノルマを課す
- 無駄のない活動
- 上からの指示に歯向かわない
- 足で稼ぐ(電話本数や訪問回数など)
をする必要があります。
つまりソルジャー営業に求められる人材は「体育会系」の人になります。
独占・殿様営業
独占・殿様営業ってなに?
独占・殿様営業とは
技術がしっかりしていることを示せば仕事は自然とやってくる営業
です。
提供数が限られるモノを売る、お客さんを選ぶ営業になり、自然とお客さんがやってくるため、営業の立場は弱くなります。
- 日本酒の酒造
などが例になります。
来店待ち反響営業
来店待ちの反響営業ってなに?
来店待ちの反響営業とは
製品が差別化されていないため頑張って営業しなければいけないが、店舗という縛りがあるため、広告・立地条件に左右されてしまう営業
- コンビニ
- ドラッグストア
- ファミレス
- 家電量販店
- 居酒屋
などなど、普段私たちが買い物に行く場所、ご飯を食べに行く場所です。
競合が多く、製品に差別がされていないため売上減少を抑えるために長時間労働でカバーしがちになり、ブラック化しやすい特徴があります。
「営業」を臨床工学技士の業務に当てはめる
「営業」から「組織運営」・「業務拡大」について考えていきます!!
まずは臨床工学技士の業務について。
臨床工学技士は病院やクリニックに雇われ「血液浄化」、「人工心肺」、「呼吸療法」、「機器管理」などの業務を行っています。病院内の透析室、手術室、臨床工学室などに配属され業務を行います。
つまり、営業で例えると「来店待ち反響営業」にあたります。
- 来店待ち反響営業
製品が差別化されていないため頑張って営業しなければいけないが、店舗という縛りがあるため、広告・立地条件に左右されてしまう営業
新卒で入った、やる気満々な状態であれば問題ありませんが、この状態で10年、20年と過ごすとモチベーションが低下していってしまうことも・・・。
同じ業務を毎日、淡々とこなす・・・だと飽きるかも。
そのため、次のステップに移行する必要があります。
次に「ソルジャー営業」に移行します。
- ソルジャー営業
外回り営業のため、「製品が売れないのは営業のせい」となってしまう営業
病棟やICUなどに出向き「足で稼ぐ」業務を行います。
トラブル対応や困りごとに対する対応、院内の勉強会など、なんでもござれと言わんばかりに業務を行っていきます。いわゆる「プレイヤー」として活動します。
事件は現場で起きているんだ!!
「RST」などの多職種連携チームへの参加やICU専属なども「ソルジャー」と言えます。
さて、ここで分岐が生まれます。
将来「プレイヤー」として活動してくのであれば「ソルジャー営業」を極める、将来「マネージャー」活動を行いたいのであれば「ソリューションタイプ営業」へ移行です。
- ソリューションタイプ営業
ただモノを売るだけではなく、「市場と対話」を求められる営業
ここで「市場と対話」です。
ここで言う市場は
- 病棟やICUなどの病院側
- 患者さん側
に分かれます。
「業務をよりよくするためにはどうしたらいいだろうか」と考える段階です。
よりよくするために現場を知らなければいけないため「ソルジャー」からの移行が望ましいです。
- 独占・殿様営業
技術がしっかりしていることを示せば仕事は自然とやってくる営業
困った困った。○○さんに相談しよう。
と、ここまでくると自然と相談が持ち込まれるようになります。
これはマネジメント業務、プレーヤー業務問わずです。
- インシデントの対応策、どうしたらいいの?
- 穿刺が難しい
など、です。
自然と頼られるその道の第一人者と言った感じです。
さらに規模が大きくなると院内のみならず院外まで活動の幅が広がります。
学会で教育講演やシンポジウムのなどの発表をしている人などはこの段階にいます。
業務拡大について考える
業務拡大について考えよう!!
「業務拡大」とは文字通り「業務を拡大」させる訳です。
自らが動いて(他部署を絡めて)業務を拡大させるため、必要なのは「ソルジャー営業」と「ソリューション営業」です。
まずはひたすら「現場」へ足を運び、現場の顕在化された問題点の発掘です。さらに目には見えない潜在化した問題点を発見します。こうした問題点をみつけるのが実は難しいです。
相手の業務について理解していないと問題点は見つけられないためです。そして、見つけた問題点を改善するために、臨床工学技士としてどのようにアプローチするかを考えていきます。
このように「ソルジャー」から「ソリューション」へシフトすることで「業務拡大」が可能になります。
という、「業務拡大」の考え方の一例です。
組織運営
次に組織運営について考えよう!!
自分の技術を磨きたい人もいれば、将来マネジメント業務をしたい人。
ガンガン積極的に新しい業務に取り組む人もいれば、1つの業務を極めたい人。
業務に対してどうすれば効率よくなるか考える人もいれば、言われたことを正確にこなす人。
ヒトそれぞれで性格や特徴、考え方は千差万別。そして、それぞれのキャラクターに合ったキャリアアップを考えるのが上司の役目。最終的なゴール「独占・殿様営業」を目指しつつ、「来店待ち反響営業」、「ソルジャー営業」、「ソリューションタイプ営業」のどの系統で教育していくかを考えましょう。
- 来店待ち反響営業
自分の技術を磨きたい人、1つの業務を極めたい人
- ソルジャー営業
自分の技術を磨きたい人、ガンガン積極的に新しい業務に取り組む人
- ソリューションタイプ営業
将来マネジメント業務をしたい人、業務に対してどうすれば効率よくなるか考える人
ヒトそれぞれキャラクターが違うため、教育法も変わるってことか!!
↓「やりがい」に関する記事です。
さいごに
臨床工学技士の業務は血液浄化、呼吸療法、人工心肺、機器管理、集中治療、心カテ、不整脈、内視鏡、医療安全・・・・・と、とても幅が広いです。そんな幅広な業務を千差万別なキャラクターに合わせて業務に当たれるよう、今回の「営業」の記事が少しでも参考になれば幸いです。
病院に来る営業さんやディーラーさんも「ソルジャー営業」をしています。営業の中でもつらい部類になるため、きつく当たらないようにしましょう。
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