臨床工学技士に研修はつきものです。
医療機器の使い方や構造、医療安全関係の話など多岐にわたります。
そんな研修会、どうせなら効果的に行いたくないですか。私は効果的に行いたいと思いました。
そこで今回、「研修の在り方」について考えていきましょう。
研修の目的
いい研修とは何でしょうか。
いい研修とは、「結果を出すこと」になります。
知識やスキルの習得や実践することだけでは決してゴールではありません。しかし、結果をだすことは一筋縄ではいきません。
そのため、少なくとも学んだ内容を理解するだけではなく活用、実践できるレベルにする必要があります。そうしなければ結果につながりません。
ここでタキソノミーの「認知過程次元」を見ていきましょう。
タキソノミーとはざっくり言うと教師が生徒に対して、授業を通して教えるべきことです。
- 学んだ内容を記憶している
- 学んだ内容を理解している
- 学んだ内容を活用、実践できる
- 学んだ内容を分析できる
- 学んだ内容を評価できる
- 学んだ内容を活用して創造できる
分かったつもりではなく、本当に理解できるように設計された研修を行う必要があり、「理解している」レベルを超えた「実践・活用できる」レベルになって職場に戻る必要があります。
知識を与える、伝えることが目的であれば動画や書籍などでことが足ります。ようはググって調べればいいわけです。
対面で集合研修を行うのであれば、集合研修のメリットをよく知っておく必要があります。
集合研修でしかできないこと
- 体験や練習
学んだスキルや知識をその場で体験、練習できる
- 講師と会話
講師からの問いかけに対して考え、回答、深堀りすることで新しい気付き、学びをえられる
- 参加者同士の対話
他の人の発言から新たな気づき、アイデアを創造
- アクティビティ
参加者が考察、問題解決する体験からの気づき、経験
学習のスタイル
人それぞれ学び方に違いがあり、これを「学習スタイル」といいます。
特に何がいい、悪いではなく受講者それぞれスタイルに違いがあるということを理解しておく必要があります。
情報の構築
- 具体的タイプ
情報が系統立って構成されているほうが受け取りやすい。細かく提示し今どこかわかるようにすると安心する。
- 大枠タイプ
ざっくりと全体をつかんで、自分に必要な情報を好きなようにアレンジすることを好む。アジェンダが細かいと窮屈に感じる。
何を学ぶか
- 情報タイプ
新しい情報を得ること自体楽しいと感じる。
- 実践タイプ
自分に役立つこと、活用できることを学びたい。
学習プロセス
- 参画タイプ
人とのかかわりの中で学ぶことを好む。
- 考察タイプ
受け取った情報をいったん自分一人で考える。
自分が学びやすいからと言って、参加者もそうだとは限らないということを念頭に置いておきましょう。
選択権、決定権
研修が終わると職場に戻ります。この時すでに講師はいません。そのため、参加者は自力で学びを実践しなければなりません。
しかし、研修中に
~しましょう
~してください
~この通りやってみてください
目標は〇〇です
と言ってしまうと研修自体が受け身になってしまいます。
そうすると、研修は受け身、研修終了したら自主的に行動しなければいけないという矛盾が生じてしまいます。
そのため、研修は実践しようと主体性をもって行動してもらう必要があります。
よって、参加者自体が選択権、決定権を持つことが重要になります。
- 座席を選ぶ
- 場所・道具を選ぶ
- 役割を選ぶ
- 発表する順番を選ぶ
- ペアワークの相手を選ぶ
- 取り組む課題・順序を選ぶ
- 研修後に実践することを自分で考えて決める
こういったことを受講者自身にやってもらうことが大事になります。
参加者がモチベーション高く学んでもらうためには・・・?
モチベーションを高く学んでもらうために大切なことがいくつかあります。
- ニーズを作り出す
自分にとって必要なことであると認識しているときは、参加者の学ぶ意欲が高まります。
そのため、どんな場面で役立つのか、どんな課題がクリアできるのか、どんなメリットがあるのかなどを伝えると効果的です。
- 自己責任を感じてもらう
他人事ではなく自分事に感じてもらう工夫が必要です。
研修で何を習得して帰るのかなどの目標設定が大事です。
- 興味を持たせ、維持する
参加者の集中力は長く持ちません。そのため8分に1回程度、質問をするなどして講義事体に参加してもらう方法が有効的です。
- 実生活に当てはめることができるような経験を提供
実践でどう活用できるか具体的にイメージしてもらう必要があります。
どんな場面で活用するか、実践することのメリット、実践しないことのデメリットなどを伝える方法があります。
- 称賛する、励ます、認める
発表ありがとうございました
ご質問ありがとうございます
良いアイデアですね
順調ですね
このような言葉をたくさん使いましょう。
- 健全な競争相手を促進
遊び心があって楽しめるレベルの競争をうまく取り入れましょう。
誰も傷つかない方法であることが重要です。
- 講師自身がワクワクしている
講師自身のモチベーションは受講者に敏感に伝わります。楽しみながらやりましょう。
- 長期的な目的を設定
研修で学んだことが、参加者にとって長期的な視点で価値があるかどうかを伝えます。
例としては組織の戦略や方針、個人の能力開発にどのように寄与できるのかなどです。
- 内面的なモチベーションの価値を理解
何にモチベーションを感じるのかは人それぞれです。参加者が自分の期待する反応を見せない時にモチベーションがないと決めつけてはいけません。
- 対人関係を強化
参加者同士の関係強化を図るように努めます。講師と参加者のみならず、参加者の対話にも大きな価値が生まれます。
- 参加者に選択の自由を与える
参加者が主体性を発揮できるような研修の運営、デザインを考えましょう。
さいごに
今回は研修について書いていきました。
研修のテクニックというよりは、研修とはを特化に書きました。
やっぱり研修って奥が深いですね。
参考図書・PR
- 研修アクティビティハンドブック
本書を読んで研修の在り方について考えさせられました。
コメント